EL TANGO VIVO

TARTINE2005-04-17

EL TANGO VIVOのコンサートへ。会場は、台東区松が谷にあるお寺、本覚寺。その粋な本堂にて。
熊田洋さん(Pf)と東谷健司さん(Cb)のデュオ。

一部

  • エル・バケアーノ 「道案内人」 (アグスティン・バルディ作曲)
  • エル・ポージョ・リカルド (ルイス・A・フェルナンデス作曲)
  • ロディア・デ・アラバル 「場末のメロディー」 (カルロス・ガルデル作曲)
  • フロール・デ・リノ 「亜麻の花」 (E・スタンポーニ作曲)
  • レダ 「孤独」 (カルロス・ガルデル作曲)
  • バンドネオン・アラバレーロ 「場末のバンドネオン」 (ファン・デアンブロジョ“バチーチャ”作曲)
  • パジャドーラ 「吟遊詩人」 (フリアン・プラサ作曲)
  • ラコント (カルロス・ガルシーア作曲)
  • パラ・ルシルセ 「輝くばかり」 (アストル・ピアソラ作曲)
  • ア・ウナ・ムヘール  (オラシオ・サルガン作曲)
  • コロール・デ・ロサ 「薔薇の色」 (ポリート兄弟作曲)
  • ラ・クンパルシータ  (E・G・マトス・ロドリゲス作曲)


二部

  • エン・トゥ・ベンターナ 「君の窓辺に」 (熊田洋作曲)
  • ラ・カジェシータ (熊田洋作曲)
  • エン・トゥ・コラソン (オラシオ・サルガン作曲)
  • カンバラーチェ 「古道具屋」 (エンリケ・サントス・ディセポロ作曲)
  • ロンドリーナス 「つばめ」 (カルロス・ガルデル作曲)
  • エル・フィルレッテ (マリアーノ・モーレス作曲)
  • ドン・アグスティン・バルディ (オラシオ・サルガン作曲)
  • マダム・イボンヌ (エドゥアルド・ペレイラ作曲)
  • ペダシート・デ・シエロ 「空のひとひら」 (E・スタンポーニ、E・M・フランチーニ作曲)
  • サバド・イングレス (ファン・マグリオ“パチョ”作曲)
  • エル・ウルティモ・オルガニート 「最後のオルガニート」 (アニバル・トロイロ作曲)
  • ガルーア 「氷雨」 (アニバル・トロイロ作曲)

・・・以上、プログラムより・・・


アンコール

客席の最前列は、きっと、演奏者から2メートルくらいしか離れていないのではなかろうか。。。小心者なので、結局いつも3・4列目に座ってしまう私。熊田さんも、東谷さんも、どうしようもないくらい憧れの存在なので、あまりに近い席だと落ち着いて聴いている自信がないんだなぁ(自意識過剰もいいところだワ)。。。それでも今回は、勇気を振り絞って?2列目に座ってみた。うーん、近い。
今回、新曲はバンドネオン・アラバレーロ。原曲がやたら短い曲であるらしく、熊田さんがアレンジにブンブン腕を振るったのだとか。他は、おなじみのレパートリー。今、このセットリストを見ているだけでもゾクゾクしてしまうくらい、一癖も二癖もあるよい曲ばかり。思い出すだけでウットリする。アレンジが命なのだろうなあ、原曲を聴いてみると「え?何?」と思うものが多い気がするし。
タンゴの象徴である『バンドネオン』を入れない、ピアノとコントラバスという極端にシンプルな編成であること、日本で最も有名?なタンゴの名曲『ラ・クンパルシータ』を進んで(好んで)演奏していない(当初は頼まれても断っていたのだとか。そういうの好き。)、やたらとピアソラの曲を演奏しない(あえて、EL TANGO VIVOピアソラだけを演奏するという企画がもしもあったとしたら聴いてみたい気がする。ないだろうけど、それもそれで凄そう。。。)という類の心意気にひどく惹かれる。熊田さんのピアノは、「突き指しちゃうから(まあ、しないでしょうが)、もうその辺で、、、」と、見ているほうが心配になってしまうくらいの鬼気迫るオーラを放つこともあれば、ひっそりと咲く花が風に吹かれてユラユラする動きにごく近い繊細さを饒舌に表現したりする。それに寄り添って、東谷さんのコントラバスの低音もズシズシと切なく胸に響いてくる。うたうコントバスに弱いなあ。。。ワルツのリズムを刻むコントラバスもかなり素敵。パーカッションと化するコントラバスも魅力的、見応えがある。曲が終わるとタイミングよく「ブラヴォ!」と粋に声をかける方がいらっしゃった。それが、すごく通っぽくて(実際、通でいらっしゃるのでしょう。)、素敵だったなあ。別のタンゴのコンサートでも聴いたことのある低い声。いつか私も「ブラヴォ!」をかっこよく、さらりと言ってみたい。
おなじみの曲「エル・ウルティモ・オルガニート」、「ガルーア」は、弾いているとご本人たちが妙に盛り上がってしまうのだとか。MCで、「この曲っていい曲だよねぇ」「いい曲だねぇ、昔からずっとやってるけど」と言い合うお二人。思わずぶんぶん頷いてしまう。声高に言うこともなく、朴訥とした語り口の彼らが、とても好きだなあと改めて思う。
帰り際、東谷さんと話した気がするが、何を話したのか全く思い出せない、、、し、熊田さんには「すごく素敵でした。」くらいしか言えなかった気がする。駄目じゃん、もっと気の利いたこと言わなきゃ。。。どうでもいい人にはどうでもいいように対応できたりするのだけれど(いいのか、自分。)、ちょっとでも好意を持っている人となるとねぇ。。。そろそろ大人になろうか。。。