●「塩一トンの読書」須賀敦子
前に読んだときにひいた線の部分を中心に、ぱらぱらと再読。本を読みながら気に入ったところに線を引いたり、メモしたりする癖があるので、恥ずかしくて自分が所有する本を気軽に貸せない質。単純にケチとか意地悪とかじゃなくって(私、そこまで幼稚じゃない。。。)、それらの読んだ痕跡を見られるのが猛烈に激しく恥ずかしいから貸せないという変なコダワリを持つ私。。。「塩一トンの読書」にも、たくさん線がひいてある。メモもちらほら。書物と作家をめぐる須賀さんのエッセイなのだが、するする読めるわりにチクリと胸に響く須賀さんの冷静なものの考え方が伝わってくる個所が多い。『人生の いくつかの場面で 途方に暮れて 立ちつくしたとき 私を支えてくれた――好きな本たちと 好きな作家たち』と帯にあるように、私にとっては須賀さんが残した本と、須賀敦子という作家がそうなる可能性が高いのかもしれないなあ。。。などとぼんやり思ってみたりする。この本の中で「作品のなかの「ものがたり」と「小説」――谷崎潤一郎細雪』」は興味深いものの一つ。巻末で「先生(須賀敦子)の文章、そして話し方も、まさしく「みやび的世界」で存分に展開されている・・・先生はもしかすると「ものがたり」派だったのかもしれない」と青柳祐美子さんが書いているのを読んで、たしかにそういう気配を感じたからこそ私も好き好んで須賀さんの作品を読んでいたんだよなあと、今更ながらしみじみ思う。改めて読んでみたくなった本が続々と出てきて困る。。。あぁ危険だ。。。
●「ヴェネツィア暮らし」矢島翠著
●「十三夜」樋口一葉
●「南国に日は落ちて」マヌエル・プイグ
●「細雪」「盲目物語」谷崎潤一郎
●「ジョルジュ・サンドからの手紙」「マヨルカの冬」ジョルジュ・サンド
●「トーマス・クックの旅」本城靖久
●「アリス・B・トクラスの料理読本――ガートルード・スタインのパリの食卓」アリス・B・トクラス著