●「室生犀星詩集」山室静*1
詩なんて読むの何年ぶり?どうした自分。

一粒の種


このごろの私は幸福であるといつていい
咲いたものの凋むのがつねなやうに
私もしまひに小さい一つの実となるだらう
かつきりした美しい実となるだらう
それでも不愉快ではない
むしろ私はそれをのぞんでゐるのだ
よい実をむすぶやうに
よい地の面におろされるやうに

*1:

室生犀星詩集 (世界の詩 5)

室生犀星詩集 (世界の詩 5)